総合的な学習(福祉・ボランティア)
「高齢者福祉」単元構想の模擬授業3 次へ 戻る トップへ
徳田です。
「高齢者福祉の授業を創出する」模擬授業パート3です。
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1 「ボランティア」とは何?
説明 ここまで来て、「ボランティア」について定義しておきたいと思います。
発問 さて、「ボランティア」とは何でしょう。
どういうことを「ボランティア」というのか、定義してみてください。
説明 いろいろな定義ができると思いますが、私は、
「人に役立つ」「世の中に役立つ」行い
と定義してみました。
2 「ボランティア」と「奉仕」の違い
ボランティアの種類
発問 さて、二つ目の質問。
「ボランティア」と「奉仕」とは、どう違うでしょう。
指示 その違いを書いてみてください。
説明 「奉仕」という言葉を、辞書で引いてみました。
すると、次のようにありました。
奉仕 @ 国家や社会などのために、私心をすてて尽くすこと
次に、「ボランティア」という言葉を引いてみました。
すると、次のようにありました。
ボランティア @ 公共福祉事業に自ら進んで技能や労力を無償
で提供する人々
さらに、「ボランティア」の意味を英語ではどう説明されているか調べ
てみました。英語では「volunteer」と書きますが、次のようにありまし
た。
volunteer
名詞 志願者、有志
動詞
自発的に申し出る、進んでやる
説明 つまり、二つの違いは明白です。
「奉仕」は、「私心をすてて、尽くす」がキーワードです。
「ボランティア」は、「自発的に、自ら進んで、する」がキーワードです。
これが「奉仕」と「ボランティア」の違いです。
説明 このことで、千葉大学の明石先生が次のようなことを言っています。
ボランティアを次の四点で考えている。
@ 活動が人のためになっている(公共性)
A 自分から進んでしたもの(自発性)
B 利益を予測しない(無償制)
C 繰り返しがある(継続性)
説明 私は、この明石先生の「考え」がとても気に入っていて、ボランティアに
ついて考える際に、とても参考になりました。
「奉仕」と「ボランティア」とでは、@とBは共通しています。
つまり、「報酬を期待せず」、「活動が人のため・世のためになってい
る」行いが、「奉仕」であり、「ボランティア」です。
この点では共通しています。
しかし、Aが決定的に違います。
「自分から進んでする」「自発的に行う」のが、「ボランティア」です。
その点、「奉仕」は、PTAの奉仕作業のように、「お願いされて」「半ば
強制的に」「やらざるを得ない」というように、私心をすてて尽くす行いの
ことです。
説明 つまり、「奉仕」と「ボランティア」の共通点、相違点は次のようになりま
す。
1 やっていることや活動内容は、同じである。(共通点)
つまり、報酬や利益は期待せず、「人のため・世のためにやってい
る」行いが、「奉仕」であり、「ボランティア」である。
2 しかし、動機がまるで違う。(相違点)
「奉仕」が「私心をすてて尽くす」ということに対し、「ボランティ
ア」は、
「自分から進んで、自発的にする」ものである。
行う動機が、「自発的・自主的」なものを「ボランティア」というの
であ
る。
説明 日本全国で、いかに「えせボランティア」が存在するか、このことからお分
かりかと思います。
例えば、私の学校でもありますが、朝の自主活動・ボランティア活動とか
言って、始業前に学校の校庭や校門付近をはいたりする活動があります
が、6年生の伝統なのですが、これって「ボランティア」でしょうか。
「やらされている」「半ばやらざるを得ない」「伝統的にやっている」この
活
動が、「ボランティア」でしょうか。
これを「奉仕作業」と呼ぶなら、まだいいです。別に「自主的・自発的」
じゃ
なくてもいいわけですから・・・・。学校のために尽くせばいいのですから。
しかし、「半ば強制的に」「伝統になっているから」「人から言われて」行
う
これは、とても「ボランティア」とは言えません。
もっと問題なのは、始業前に、このような活動を「半ば強制的にさせてい
ること」です。
「6年生は最高学年だから、みんなのリーダーになって自分から進ん
で学校をきれいにしよう。学校のためになることをしよう。」
というふうに言われやらされているわけです。
これって、問題だと思います。「善意の押しつけ」です。
説明 話が少しとんでしまいました。元に戻します。
このように、動機が「自発的・自主的、自分から進んで」なのが「ボランテ
ィア」なのだと考えます。
3 「ボランティア」教育の目標
説明
そうすると、「ボランティア」教育の目標が自然と定まってくると思います。
どういう子どもを育てることが「ボランティア」の目標なのかが、はっきり
してくると思います。
私は次のように考えています。
ボランティア教育の目標
◎ 「人に役立つ」「世の中の役に立つ」行いをしたいという自主的・
自発的態度を育て、それを実践・行動できる子どもを育てる。
この「自主的・自発的態度」を育てる、それを「実践・行動できる」。この
一点に絞って学習を仕組んでいく。これが「ボランティア」の学習だと思い
ます。
全ての学習活動が最終的に、ここに向かうように授業や単元を創り上げ
ていく。これが必要だと思います。
説明 さて、ボランティアは、その行いを向ける対象・働きかける対象の違いに
よって、いくつかに種類分けすることができます。
例えば、働きかける対象が「障害者・高齢者」の場合は、「福祉」ボラン
ティ
アというふうにです。
発問 他に、「何ボランティア」が考えられますか。
指示 書いてみてください。
説明 私は次のように種類分けしました。
1 「福祉」ボランティア → 対 高齢者・障害者・困っている
人
2 「環境」ボランティア → 対 環境
3 「人命救助」ボランティア → 対 命の危険にされされている人
4 「救援」ボランティア → 対 救援を必要としている人
5 その他(対「身の回り」、対「人」)
4 「役立つことをする」とは、理論的に言うとどうなるか?
発問 ここで理論的な質問をします。
「「人に役立つ」「世の中に役立つ」ことをする行い」とは、理論的に言う
と、
どういうことをする行いと言えるでしょうか。(愚問かな?)
説明 私は次のように考えました。
マイナスの状況 0 プラス
の状況
_________________________
働きかける対象が「マイナスの状況」だから、その対象に何かしら働き
かける必要があります。その対象の「役に立つ」働きかけが必要です。
このような「マイナスの状況」にある対象に対して、「プラスの状況」にな
るように働きかける行為、あるいは、「マイナスの状況」をなくすように働き
かける行為、これを「ボランティア」と考えます。
このことを箇条書きに、以下に整理して示します。
(続 く)